特別展示「未来技術遺産 登録パネル展」/国立科学博物館 産業技術史資料情報センター 2010.08.04 筆:風待

2010年8月4日

三井記念美術館を訪れる途中に、「国立科学博物館」という文字列の入った看板が目に留まりました。

「科学博物館って、上野にあるあれのこと?」と思って看板をしげしげと眺めると、資料館的な施設のよう。でも、その入口には、警備の方が立っておられます。

ま、物は試しということで、三井記念美術館の帰りに寄ってみました。

念のため警備の方に、「この看板のは、ココから入ればいいんですか?」と問うてみたところ、是という返事がありました。

そこは、三井信託銀行と同じ入口で、これもまたがっしりとした感じのエレベーターで5階に上がると、なにやら自分が場違いであるような雰囲気が感じ取れます。

どうやら、その場は完全なオフィススペースのよう。三井本館に入居するようなところは、きっとそれなりなんでしょうから、違和感を覚えるのも無理はありません、はい。

で、案内に従って進んでみると、到着しました、目的地に。

自動反応の機械音声に迎えられ、入ってみると「がらん」という擬音が似合いそうなホールの壁面に、パネルがやたらと並べられています。

とはいえ、パネル以外の展示物もあり、手前にあったのはデジカメの元祖的試作機だそう。名前が付いていて、「熱子」と「重子」ですか……。
試作機の段階では、熱くて、重い状態だったのが、あんなにもコンパクトで熱くないものになった、ということなのでしょう。

壁面の展示をつらつらと見ていくと、さまざまな施設に鎮座している機械が、「重要科学技術資料・未来技術遺産」に認定されていて、そのパネル写真が飾られている、って状態とのこと。

並んでいた中では、酒の自動販売機(ほぼ木造のよう)や、NEAC2203あたりに心惹かれました。

そして、この22葉のパネルの展示は第2回分で、ということは初回認定分もあるわけですが、それらについては、今回は紙資料があるだけ。
第一回分の中には、噴水型飲料用自動販売機や、金剛のボイラー、ブラウン管テレビに最初に映った「イ」の字が書かれた板、などもあったそう。

【重要科学技術資料・未来技術遺産】

これらの現物を一堂に集めることはできないし、また集める意味もないでしょうから、このような形の展示もよい……のですが、未来技術遺産のサイトがまったく閲覧性の低い、PDF使用の一枚ページってのは、どーゆーことなのやら。

この施設、ネット中心に展開ってことのようなのですが、HITNETというのも、いくらなんでもシンプルすぎるし。

……というのは、本筋から外れた余談でありました。
この施設、企画展をやっている時しか入れないようですが、三井本館の空気感に触れられるという、別の価値がありそうです。

産業技術史資料情報センター

特別展示「平城遷都1300年記念 奈良の古寺と仏像 會津八一のうたにのせて」/三井記念美術館 2010.08.04 筆:風待

2010年8月4日

三井記念美術館は、三井本館の七階にある、常設展示は行われていない美術館です。
日本橋の欄干に座るドラゴンに目礼し、三越本店入口に寝そべるライオンたちに見つめられながら、三井本館に到着します。

涼気があふれるロビー的な空間では、金魚のアクアリウムがなごやかな印象を放っていました。著名な水族館デザイナーさん(という呼び方で合っているのか?)がプロデュースされているそう。

係員さんが誘ってくれた重厚なエレベーターで7階へと上がると、出迎えてくれたのは凛々しい鹿の立像たち。(と、ここにも係員さんが。人の配置が豪華であります)

ぐるっとパスで入場しますと、落ちついた室内の装飾が、控えめな照明で映えています。

音声ガイドは使わず、ガラスケースに入った仏像と対面するわけですが、平日でも人はなかなか多めとなっていました。こどもさんの姿は、皆無だったんですけどね。

仏教的な知識は深くないため、造形中心の視点になるのですが、同時にここにいる仏像たちが当初の輝きを放っていたら、別の美しさがあるんだろうなあ、とも。
その頃は、日常においては金色なんて、まず目にしない時代だったわけでしょうし。
……と言いながら、すべてが金色だったのかどうかは、把握していないのですが。

そして、現状の木目だからこそさらに映える美しさ、というのもあるのでしょうね。
特に心に響いたのは、東大寺から来ている地蔵菩薩像と、元興寺からの如意輪観音像。どちらもとても綺麗でありました。

會津八一さんの歌についても展示があったのですが、こちらは仏教よりもさらに守備範囲外ということで、さらっと見させていただいた状態でありました。

この美術展は、平城遷都1300年にまつわる記念イベントの一環で、新潟での展示を終え、東京で開催しており、秋には奈良での展示となるそうです。

そして、三井のセンスが許容しないのか、せんとくんの影はまったく見当たりませんでした。いや、どこか陰の方には転がっていたのかもしれないですけどね。

三井記念美術館の入口

常設展示/台東区下町風俗資料館 2010.07.13 筆:風待

2010年7月16日

科学博物館で企画展を見て、ついでにどこか寄ろうということになり、上野公園の地図を眺めてみました。

数多くある博物館/美術館から目にとまったのが、台東区下町風俗資料館。地図を見るまで存在を知らなかっただけに、まったく期待せずの訪問となりました。

下町風俗資料館があるのは、不忍池のはしっこあたり。ちょうど蓮の花が開いている時季で、それを眺めてからの入館です。300円という値づけは、気軽に寄れる料金でよいですねえ。
一階と二階があります、との説明をもらい、まずは一階から見ることに。

展示してある家に上がりこむと、なんだか落ちついてしまいます。こういった、「当時の暮らしぶり」といった展示は、江戸東京博物館など、いくつかの施設で見た覚えがありますが、なぜかここのは、とても強く生活感に触れることができました。

商家の雰囲気も、駄菓子屋さんの商品ラインナップも長屋の居間も落ちつくのは、路地なども作りこんであるからでしょうか。よそと違う生活感がなにから来るのかは、明確な答えを見つけることはできませんでした。

かつての行商の声が流れる階段で二階へ上がると、一階とは違ってもろもろの展示が広がっています。

遊具の類が並んでいるほか、土地柄ということもあってか、浅草の盛り場、花やしき、凌雲閣などにまつわるものが多く見られました。

女優さん・俳優さんのブロマイドなどとともに、その人の芸能人生がまとめられていたり、花やしきの展示内容の変遷があったりと、肉付けが充実していてたのしめます。

比べてどうなる、というものではないものの、江戸東京博物館の同じ時期を扱った展示よりも、だいぶ充実しているような。特化の勝利、ということなのでしょうかね。

さらには、二階には銭湯の番台もありまして、座れるようになっています。江戸東京たてもの園の子宝湯もいいですけど、ここもよいふんいきとなっていました。

というわけで、期待値が低かったこともあって、大満足で、おみそれしました、という状態です。
ただ逆に、高い期待を抱いて訪れると、微妙な感じは残ってしまうかもしれません。

企画展「大哺乳類展 海のなかまたち」/科学博物館 2010.07.13 筆:風待

2010年7月16日

「陸」と「海」の二部構成で開催された大哺乳類展の、後編という位置づけになります。

陸の部は、大量の剥製たちの存在感と物量に圧倒される感じでありました。地球館三階の常設展示とは、また違った迫力のありようでしたし。

対する、今回の「海のなかまたち」は、展示物の物量としては少ないかもしれませんが、展示スペースを覆うくじらの骨の迫力や、各所に配置された映像資料が効果的で、見ごたえのある展示となっていました。

映像資料がまた、興味深いものの短時間にまとまっていて、よかったのです。よくありがちな、貴重なんだろうけどだらだらと続くビデオは、見て回る者のリズムを奪うよなあ、と思ってしまうのですが、今回のように数分にまとめてもらえると、そんなこともありません。……もっとも、人が滞留することを防ぐために、やむを得ず短くしたのかもしれませんけど。

展示内容では、アシカとアザラシの違いがとてもシンプルにまとまっていて、とても腑に落ちたことや、クジラの食事方法についてなどが興味深かったです。
知識として得るのと、映像や標本を交えて体感的に把握するのとは、やはり違うものでありますし。

一方、浅瀬に迷い込んだクジラ/イルカについてのストランディング研究の展示は、内容的に散漫で、こなれていなくて、なんだか違和感を覚えてしまいました。
まあ、すべての展示が魅せるものである必要もないのかもしれません。

なお、飛び出せ!科学くんとのコラボについては、淡い感じで気になりませんでした。逆に、それに惹かれてきた人には物足りない感があるかも。
って、そう感じたのは、音声ガイドを使っていないからか。そのナレーション(ココリコの田中さんが担当だそう)では、もしかしたら濃度が高いのかもしれません。

訪れたのは、スタート直後を避けた、夏休み入り前の平日だったため、スムーズに見て回ることができました。夏休みに入ると、おそらく混雑することでしょう。
ただ、わりとゆったりとした配置になっていたので、混んでいるときでも、意外と見やすいかもしれません。

……といったあたりが雑感ですが、同時に、この企画展に近い迫力の内容を常設展示している科学博物館は、改めて好ましい施設だなあ、と感じた次第でありました。